合併症について
硬膜外カテーテル挿入時の合併症
硬膜穿孔
硬膜は非常に薄い膜なので、硬膜外にカテーテルを挿入する際に膜を貫いてしまうことがあります。その際にできた穴から脳脊髄液が漏れ頭痛が起こることがありますが、多くは1週間以内に症状はなくなります。
およそ100人に1人の割合ではありますが、頭痛がひどい場合には治療法もありますので、我慢せずにご相談ください。
神経障害
カテーテルが神経の一部にあたっていて、分娩後にしびれ感などが出現することがあります。針で神経の一部を傷つけた場合は、足のしびれなど一時的に症状が残ることがありますが、ほとんどの場合が一過性で、2〜3ヶ月で治ります。
針の挿入の際に大きく動いたり、側弯症があると、神経損傷のリスクが高くなります。
背骨の病気を指摘されたことのある方(側弯症や椎間板ヘルニアなど)は必ず申し出てください。
感染や血腫
カテーテル挿入の際には十分な消毒を行いますが、長時間留置すると皮膚のばい菌がカテーテルを伝って脊髄に入ることがあります。
また、およそ数万人に1人の割合ではありますが、カテーテルを入れるときに血管を擦ると内出血が起こり、血腫(血の塊)を作ることがあります。
これらにより神経麻痺が起こった場合は手術にて溜まった血液を取り除かなければならないこともあります。
麻酔を始めた時の合併症
血圧低下
硬膜外麻酔の薬剤の影響により、お母さんの血圧低下を起こすことがあります。
そのため、硬膜外麻酔を行う前から点滴を行い、予防を図るとともに、麻酔開始後に血圧が下がるような場合には体勢を変えたり薬剤投与を行い血圧を元に戻すように対応することがあります。
カテーテルのくも膜下迷入による下肢運動不能や血管内迷入による局所麻酔薬中毒
カテーテルがくも膜下に迷入すると麻酔が上半身まで広がり呼吸が苦しくなったり、足に力が入らなくなったり、一時的に意識が遠のいたりする場合があります。
また、血管内に迷入すると耳鳴りや目眩、舌のしびれや金属味などの症状、ひきつけ(痙攣)を起こしたりすることがあります。
このため、麻酔薬は常に少量ずつ投与し、症状が出現した場合はすぐにカテーテルを入れ直しさせていただきます。
アレルギー
アレルギーが起こると血圧低下やショックなどが起こり、大変危険になります。
今までに薬剤アレルギーを指摘されたことのある方は必ず申し出てください。